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妊娠力は、日々の身体づくりから始まる
体組成と栄養状態から考える妊娠へのアプローチ
不妊治療中に整えたい食事と生活習慣
【麻布モンテアール レディースクリニック 山中智哉先生】

食生活や生活習慣を見直すことも、妊娠への大切な一歩です
不妊治療中によくいただく質問のひとつが、「お酒は飲んでも大丈夫ですか?」というものです。 医学的に言えば、妊娠が成立すれば飲酒は避けるべきものです。
実際には、飲酒や喫煙をしていても妊娠された方はいらっしゃいます。 しかし医療は“ゼロか100か”ではなく、確率の積み重ねです。体重や栄養状態は、その確率に関わる要素のひとつと考えられています。
私は患者さんにお伝えする立場として、自分自身も週に数回運動を行い、栄養管理を意識しています。実践しているからこそ、生活習慣の重要性をお伝えできると思っています。
不妊治療には新しい技術や検査がありますが、それと同時に、食事・運動・睡眠といった日々の生活を整えることも、妊娠への土台になります。
体重は、日々の生活の“結果”として現れます
体重という数字は、単なる重さではなく、その方の生活習慣の積み重ねを映す指標のひとつです。
当院では体組成計で筋肉量や体脂肪量を測定しています。 数値を見ていくと、体重が標準範囲内でも、筋肉量がやや少なく、体脂肪率が高めという方が少なくありません。
体重という数字だけでは分かりにくいのですが、筋肉量や体脂肪率を詳しく見ると、食生活や運動習慣の傾向が見えてきます。これは「良い・悪い」という話ではなく、整えられる部分があるということです。
タンパク質の摂取量については、一般的には体重1kgあたり1g程度が目安とされています。例えば体重50kgの方であれば、1日50g前後がひとつの目安になります。
実際の食事内容をうかがうと、十分に摂れていないケースも少なくありません。
タンパク質は卵子やホルモンの材料にもなります。体外受精を行っても思うような結果が出ない場合、栄養状態を見直すことで改善がみられるケースもあります。
栄養状態を整えることで見えてくる変化
妊娠を目指して葉酸サプリを飲んでいる方は多くいらっしゃいます。葉酸は大切な栄養素のひとつですが、それだけで妊娠が決まるわけではありません。
妊娠に特別な栄養素があるというよりも、日常的な健康状態の延長線上に妊娠がある、と私は考えています。
そのため当院では、不妊検査や治療と並行して、栄養状態にも目を向けています。
健康診断で「正常」とされていても、体組成や栄養バランスを詳しく見ると、調整できる点が見つかることがあります。体重が標準範囲であっても、筋肉量が少なく、エネルギー代謝が十分でないケースもあります。
例えば、初回採卵で受精卵の発育が思わしくなかった方にカルニチンなどを補充したところ、次周期で胚の質が改善した例もあります。
卵子の成熟には数ヶ月かかると一般的に言われますが、比較的短期間で変化がみられることもあります。血液検査の数値として明確に表れる前の段階でも、栄養素の補充が代謝や血流に影響している可能性は考えられます。
もちろん、すべてをサプリメントの効果と断定することはできません。ただ、栄養状態を整えることが治療結果に影響していると考えられるケースは、臨床の現場で経験しています。
麻布モンテアール レディースクリニック
山中智哉先生
略歴
1998年 山梨医科大学産婦人科 入局
2002年 山梨医科大学医学博士課程 卒業
2002年 国立甲府病院 産婦人科
2004年 NTT東日本関東病院 産婦人科
2009年 水口病院産婦人科、金村産婦人科クリニック
2012年 六本木レディースクリニック 院長
2017年 六本木レディースクリニック 勤務
2020年 麻布モンテアールレディースクリニック 開院
資格
医学博士 山梨医科大学(2002年)
日本産科婦人科学会認定 産婦人科専門医
























