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ホルモン値も変化する生活習慣を見直して妊娠力をアップ
【オーク住吉産婦人科
オーク梅田レディースクリニック
オーク銀座レディースクリニック
田口 早桐 先生】

なぜ日本人は欧米人より妊娠しにくいのか?
今更ですが生活習慣ってすごく大事です。もちろん生活習慣がめちゃくちゃな人はむしろ少ないのですが、しっかり系統立てて食事管理をして、定期的に運動をしてと、とにかく、きっちり生活習慣を整えると妊娠力も確実にアップします。
今までたくさんの患者さんを見てきて「瘦せていて覇気のない人は妊娠にくい」というイメージがあったのですが、日本人は欧米人に比べて妊娠する力が弱いと言われます。これは日本人に瘦せ型の人が多いことも関係していると考えられます。細身な体型に憧れて痩せよう、痩せようとするあまり、本来備わっているはずの体のパワーを弱めてしまっているのかもしれません。
妊娠と体重についてのデータをみると、少しぽっちゃりして見える程度のBMI22くらいが一番妊娠しやすい傾向にあります。身長160センチであれば体重56キロくらいです。妊娠、出産を目指すなら、やみくもにダイエットするのではなく、妊娠しやすいように、しっかり食べる、運動をする、十分に眠るというように生活習慣を整えることを優先すると体調に変化が見られるでしょう。
「食事」「運動」「睡眠」徹底的に生活習慣を見直す
実際、痩せていて覇気を感じられない方がジムに通ってしっかり運動を始めて、しっかりご飯を食べて、しっかり寝るといった生活を始めたら治療成績が出るようになったという例は確かにあります。
クリニックに通い出した頃は、体外受精にトライしても思うような結果が出ず、「どうしてだろう、なんで妊娠しないんだろう」と表情は暗く沈んでいた方です。ですが、現状を嘆いて落ち込んでいても決してよい結果にはつながりません。「どうしてだろうと思い悩むのではなく、まず生活習慣を完璧にしましょう」と提案して、不規則な生活習慣を徹底的に見直してみました。
もちろん、皆さん規則正しい健康的な生活を送りたいと思っているわけですが、お仕事で忙しく寝るのが遅くなってしまう、食事もついつい手を抜きがち、運動するといっても空いた時間に歩くのが精いっぱいとなりがちです。
ですが、生活習慣をしっかり整えることで、自分の体が確実に変化し、妊娠力がアップするとなったら、チャレンジする価値はあると思いませんか?
たとえばジムに週3回通ってトレーニングする、食事ならタンパク質をちゃんとグラムまで計算して摂取する。ビタミンもしっかり摂取する。自分で管理するのが難しかったらジムでアドバイスをもらってもいいし、アプリを活用してもいいでしょう。
何となく自分のできる範囲で「栄養バランスを考えてお魚と野菜を摂っています。お肉も食べています」みたいな、ふんわり何となくではなく、きっちりしっかりコントールすると、目に見えて変化するのです。
まず何が変わるかというと、最初にその方の雰囲気が変わります。さらに精神的に前向きになって、顔色も変わって見ためも変化するのです。年齢は関係ありません。
こういうケースをいくつも見ていると、本当に今更ではありますが、生活習慣はとても大事だと実感します。だからこそ、不妊治療に携わっている立場からも、今一度、生活習慣を見直すことを伝えていくべきだと思っています。
医療で栄養やホルモンを補うよりも日々の生活習慣で自身の力を高める
生活習慣が大事ということは皆さんご存じだと思います。でも、どこまで徹底しているか、本気で取り組んでいるかといったら、疑問符がつくのではないでしょうか。
「なるべく野菜を食べるようにしています」ではなくて、きちんとグラムを計って摂取するのです。しっかり記録して管理するのです。
私がこれまで結果が出ているな、変わったなと感じた方はトレーナーさんなどの指導を受け、その指導を素直に聞いている方でした。素直に聞き、実践している方は結果に結びついている。もちろん妊娠に限らず、体が健康になっていくのです。
少し話は変わりますが、当院では卵巣アンチエイジングを実施しています。そのひとつにNMN点滴(ニコチンアミドモノヌクレオチド)やPRDF(多血小板血漿由来因子)があるのですが、やはり、やると確かに変化が見られます。
「1回したら次の周期に妊娠しました」というわけではありませんが、見るからに卵が育つようになったり、顔色がすごく良くなったりするのです。
こういう変化を見ても、ビタミンをしっかり摂取するとか、たんぱく質をしっかり摂取するというのは大事だし、きちんと摂取するとその分、変化するのだと実感します。
さらにもう1点、食事、運動、睡眠といった生活習慣を集中的に徹底的に整えるとホルモン値にも影響が出てきます。成長ホルモンやテストステロンの数値が上がってくるのです。
ホルモンなんて注射で外から補ったほうが手っ取り早いんじゃないかと思われるかもしれませんが、外から補わずとも自分の体内から分泌できたら、それが一番です。
自分の力でホルモンを向上できたら、妊娠に限らず、若々しくいられますし、もちろん元気で健康的に過ごせるようになるでしょう。
オーク住吉産婦人科
田口 早桐 先生
経歴
川崎医科大学卒業、兵庫医科大学大学院卒。専門は「抗精子抗体による不妊」。
学位論文はIdentification and Characterization of a sperm Peptide Antigen Recognized By a Monoclonal Antisperm Autoantibody Derived from a Vasectomized Mouse.(掲載誌 Biochemical and Biophysical Research Communications.)
府中病院を経て、医療法人オーク会勤務。
体外受精に関して、排卵誘発法を含めた治療戦略をしっかり立てることが大事との信念で、個人個人の状態に合わせた方針を決めることに力を注ぐ。
資格
日本生殖医学会認定生殖医療専門医
日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医
母体保護法指定医
臨床遺伝専門医制度委員会臨床遺伝専門医
日本再生医療学会会員
























