不妊治療の先生に聞いてみた

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子宮内膜生検の後、1~2周期は着床率が上がる。
検査をするなら胚のある時に
【オーク住吉産婦人科
 オーク梅田レディースクリニック
 オーク銀座レディースクリニック
 林 輝美 先生】

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検査と着床の因果関係は不明
でも着床率は約3倍にアップ

子宮内膜に炎症がないか、子宮がんの細胞の有無などを調べる検査として子宮内膜生検があるのですが、この検査をした後で着床される方が結構いらっしゃいます。

子宮内膜生検とは名前の通り、子宮内膜の組織を一部採取して調べる検査ですから、検査をすることで子宮内膜に傷がつきます。このように内膜に傷をつけると、その後、1~2周期は着床しやすくなる傾向が見られるのです。

もちろん、もともとは細胞に異常がないかを調べる検査なのですが、検査後に着床する方が目立ったため、検査をすることで着床しやすくなるのではと考えられるようになりました。どうして検査が着床に結びつくのかの詳しい背景は解明されていませんが、内膜についた傷を直そうと働く力が着床にも関係しているのかもしれません。

エビデンスなり医学的根拠に基づいて明確に説明できるのが一番なのですが、この内膜生検と着床の因果関係についての裏付けは今のところありません。ただ、検査後に着床する方が多いのは明白な事実です。当院の例でいうと、内膜生検後は検査せずに移植するより約3倍も着床率が高まります。

過去の例を紐解いていけば、内膜生検がもとで妊娠した方は結構いらっしゃるのではないかと思います。

検査は痛みを伴うので麻酔を使った採卵時に検査する方法も

繰り返しになりますが、内膜生検は子宮内膜が炎症を起こしていないかを調べる検査ですから、検査が必要な時に実施するのは大前提なのですが、その後の不妊治療まで視野に入れるなら、できる限り胚がある状態で検査することをお勧めします。理想的なのは2個×2回(2周期)で4個の胚がある状態で検査をすると、検査だけにとどまらず、その後の不妊治療にも活かせるわけです。

以前は検査後3周期まで着床率が高まるといわれていたのですが、3周期目の成績はあまり良くないので現在は2周期とされています。1周期目だけでなく2周期目で着床する方も結構いらっしゃいます。

医師だけでなく患者様のなかにも「内膜生検をしたら着床した」と感じている方も多いようです。患者様から「内膜生検をしてほしい」とリクエストされることもあります。というのも、検査後の胚移植で妊娠反応が出たと覚えていて、妊娠反応が出たのはその時だけだからもう1回やってみたいと思われるようです。検査は痛いんですけどね。内膜に傷をつけるわけですから痛いんですけど、結構希望される方はいらっしゃいます。
痛くないようにというのであれば、麻酔をして採卵するときに、最後に内膜生検もするという方法もあります。これだと麻酔で眠っている間に採卵と検査の両方をすることが可能です。

初めての着床で高まる妊娠への希望
初めての妊娠反応が次へのステップになる

もちろん着床したからといってすべてが妊娠、出産へと結びつくわけではありません。陽性反応が出た後で流産してしまうこともあります。でも、この場合は胚が妊娠を継続できる力を持っていなかっただけで、胚次第で妊娠出産できる可能性を示しています。これまで一度も着床したことのない患者様にとっては、「初めて着床した」「初めて妊娠反応が陽性になった」というのは、とっても大きな出来事なんです。それまで「もしかしたら自分は着床できないのかも」「妊娠できない体なのかも」と不安に思っていたのが、「自分でも着床するんだ」「妊娠できるんだ」と希望が持てる。実際、内膜生検後に着床した患者様は「次もがんばってみよう」と治療に前向きになれるようです。

もちろん検査をしたからといって必ず着床するわけではありません。ただ、可能性が高まるのは事実です。であればチャレンジしてみるのも一つの方法ではないでしょうか。

不妊治療全般にいえることですが、100%なんてありません。これをしたら必ず妊娠する必殺技なんて残念ながらないんです。ただ、妊娠の確率を高めると考えられる方法は複数あって、その一つが内膜生検です。もし、ご自分も試してみたいと思われるなら主治医に相談してみてください。当院はオンラインでも相談に乗っていますので、まずは話だけでも聞いてみたいというのであれば、ぜひご相談ください。

医療法人オーク会
林 輝美 先生

経歴

兵庫医科大学病院産婦人科学教室より宝塚市民病院へ。腹腔鏡手術の第一人者である伊熊健一郎医師のもとで非常に多数の腹腔鏡手術を行う。当時革新的だった「先天性腟欠損症に対するS状結腸を用いた腹腔鏡下造腟術」を発表。国立篠山病院、神戸アドベンチスト病院でその腕を振るう。

資格

日本生殖医学会生殖医療専門医
日本産科婦人科学会専門医
母体保護法指定医

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