不妊治療の先生に聞いてみた

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妊娠は無期限ではない。期限付きだから1年以内に妊娠を目指しましょう

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妊娠を目指すカップルにとって、不妊治療や妊活は一生の中で非常に重要なステップです。しかし、妊娠にはさまざまな要因が関わるため、どのように取り組むべきか迷うことも多いでしょう。この記事では、「1年で妊娠を目指すために」必要な基本的な知識や、妊活を成功させるためのポイントをわかりやすく解説していきます。

そもそも不妊とは?

不妊とは避妊をせずに1年以上、定期的に性交渉を行っても妊娠しない状態のことをいいます。不妊の原因にはさまざまなものがあり、主に女性の体内の問題、男性の精子に関する問題、またはその両方の要因が絡み合っています。現代においては、不妊症のカップルの約40%が男女双方に原因があるとされています。

女性側の原因

女性の不妊原因としては主に次のようなものがあります。

  • 排卵障害:卵子が正常に排卵しないため、妊娠するための卵子が出てこない状態。多くの場合はホルモンバランスの乱れが関係しています。
  • 卵管障害:卵管が詰まったり、閉塞したりすることにより、卵子と精子が出会うことができません。
  • 子宮内膜症:子宮内膜が子宮以外の場所に発生し、卵管や卵巣に影響を与えることがあります。
  • 子宮筋腫:子宮内に良性の腫瘍ができ、受精卵が着床するための環境が整わないことがあります。

男性側の原因

男性の不妊原因としては以下が考えられます。

  • 精子の数や質の低下:精子の数が少ない、または運動能力が低い場合、受精の可能性が低くなります。
  • 精管閉塞:精液が正常に排出されない場合や精管が閉塞している場合、精子が射精されなくなります。
  • ホルモンバランスの乱れ:ホルモン異常によって精子の生産が妨げられることがあります。

これらの原因を早期に特定し、適切な治療を受けることで、妊娠の確率を高めることが可能です。

妊活にはどれぐらいの期間が必要?

妊活に必要な期間は個人差が大きいですが、一般的に妊娠を目指す期間は1年以内が理想とされています。健康なカップルであれば、自然妊娠の可能性は比較的高いとされていますが、1年を経過しても妊娠しない場合は、専門医による検査を受けることをおすすめします。

妊活を始める年齢によっても妊娠の可能性は大きく異なります。特に女性の場合、35歳以上になると卵子の質や数が急激に低下し、妊娠の確率が大きく下がります。30代後半から40代にかけては、自然妊娠の確率が下がるため、早めに不妊治療を開始することが重要です。

男性についても、年齢が進むと精子の質が低下することがわかっていますが、女性ほど急激に影響を受けることはありません。それでも40歳を超えると、精子の運動能力や遺伝子の変異率が増加するため、男性も妊活を早期に開始することが望ましいといえます。

産婦人科?専門クリニック?病院選びはとても重要

いざ不妊治療を始めようと思った時、病院選びはとても重要です。というのも病院によって治療方針が大きく異なるからです。提供している治療メニューもまったく異なります。ですが、今まで一度も不妊治療を受けたことがない、不妊治療の知識もないとなったら、どの病院を選んだらいいか、わかりませんよね。

こういう場合、最初は一般婦人クリニックを選ぶ方たちが圧倒的に多いと思います。ご近所にある産婦人科ですね。不妊治療を専門に行なっている不妊治療クリニックに足を運ぶのは怖いと思われる方も多いようです。不妊治療クリニックのサイトを見ると薬を使って治療をするとか、採卵や胚移植、体外受精などの説明があって「薬?自分は薬なんか使わなくても自分の力で妊娠できるはず」「特別な治療をしなくても最初は自然な治療から入りたい」と拒絶される方も少なからずいらっしゃいます。

もちろん、年齢やからだの状態によっては夫婦生活のタイミングを合わせる、タイミング法でも妊娠することはあります。ただ何回も、場合によっては何十回もタイミング法を続けるのはおすすめしません。タイミングを合わせるだけで妊娠できる状態なら数周期で妊娠するはずだからです。何度も繰り返しても妊娠しないということは、先に挙げたような妊娠を妨げる原因がある可能性が考えられます。タイミング法ではなく人工授精や体外受精などにステップアップすることが妊娠への近道になるのです。

1年以内で妊娠を目指す理由

不妊治療にはいくつかの段階があります。まずは、タイミング法から始まり、次にホルモン療法や人工授精、最終的には体外受精(IVF)や顕微授精(ICSI)などが行われます。治療を早期に開始することで、より低負担で効果的な方法を選ぶことができ、妊娠の確率が高まります。

現在は不妊治療も保険適用になっていますから以前より不妊治療クリニックの敷居は下がったというか、比較的若いご夫婦の来院も増えているのですが、それでも主流を占めているのは30代後半から40代のご夫婦です。

この場合、可能な限り短期間で妊娠を目指すことが大切です。先に説明したように35歳以上になると妊娠しづらくなり、年齢が高くなるほど更に難しくなるからです。

残念ながら妊娠はいつでもできるものではありません。妊娠できる期間があるのです。ですから多くの不妊治療クリニックではなるべく早く妊娠できるように治療をしていきます。当院で1年での妊娠を目指しているのも、少しでも妊娠の確率が高いうちに治療をするためです。

仕事との両立をどうする?男性のサポートも欠かせない

不妊治療を行う際、治療にかかる時間や通院の回数、休養の必要性など、仕事に与える影響を考慮する必要もあります。治療内容によっては、治療後に休養を取る必要がある場合もあります。そのため、前もって治療スケジュールを立て、必要に応じて職場と調整をすることも必要です。

企業によっては従業員の妊活をサポートする制度を整えているところもあります。たとえば休暇や時短勤務制度を活用し、治療に専念できる環境を整えることも可能です。もし必要であれば上司や人事部門に相談してみることも一つの方法です。

さらに欠かせないのが男性側、ご主人の協力です。不妊治療では圧倒的に女性の負担が多くなります。無事妊娠をして出産までの期間を考えても女性の負担は大きくなります。

この時にご主人が「自分は何もできないから」と奥さんに任せっきりにするのではなく、サポートしていく姿勢は大事ですね。

ただ、個人でできることには限りがあるので男性側の出産休暇というか、出産、育児にまつわる社会の仕組みを整えられたら理想ですね。妊娠、出産、子育ては女性だけの問題ではありません。男性も含め社会全体の問題として捉えたら、不妊治療と仕事の両立についても改善されていくのではないでしょうか。

悩んでいるなら早めのスタートを

1年で妊娠を目指すためには、まず「不妊とは何か?」を理解し、どのような原因があるのかを把握することが大切です。妊活を始める年齢が早ければ早いほど、妊娠の確率が高くなるため、30代前半までには妊活を始めることが望ましいです。

また、不妊治療の選択肢や方法についても、早期に検討することが重要です。無理せず健康的な生活を送りながら、妊活に取り組むことが、1年以内に妊娠を目指すための成功のカギとなるでしょう。

とくおかレディース
徳岡 晋 先生

経歴

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  • 防衛医科大学校卒業
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  • 同校産婦人科学講座入局
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  • 防衛医科大学校附属病院にて臨床研修
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  • 自衛隊中央病院(三宿)産婦人科勤務
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  • 防衛医科大学校医学研究科(医学博士取得課程)入学
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  • 学位(医学博士)取得(平成12年)
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  • 平成12年 木場公園クリニック (不妊症専門) 勤務
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  • とくおかレディースクリニック開設

資格

日本生殖医学会 認定生殖医療専門医
日本産科婦人科学会 認定産婦人科専門医

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