不妊治療の先生に聞いてみた

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不妊治療と仕事の両立方法について
【福田ウイメンズクリニック 福田 雄介 先生】

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不妊治療と仕事の両立は、多くの人にとって大きな課題となります。治療の過程では身体的、精神的な負担が伴うことが多く、それに加えて仕事での責任や義務もあるため、どのようにバランスを取るかが重要です。以下では、不妊治療と仕事の両立方法について説明し、実践的なアドバイスを提供します。

スケジュールの調整

不妊治療の過程では、特に人工授精や体外受精、顕微授精の採卵、胚移植のような治療をうける場合その当日のスケジュール管理が必要になります。クリニックによってはそれぞれの治療の時間が決まっている場合もありそれに合わせて仕事との調整が必要です。

• 事前に治療スケジュールを確認することが重要です。人工授精、体外受精、顕微授精は卵胞の発育によりある程度通院のタイミングが決まってきます。例えば排卵が月経14日目になりやすい場合人工授精の日は月経14日目になる可能性が高く月経開始とともに仕事のスケジュール調整をしておくとスムーズです。体外受精、顕微授精の採卵、胚移植もどれくらいの頻度で来るのかなどをあらかじめ理解しておくと、仕事のスケジュール調整がスムーズになります。

• 有給休暇やフレックスタイム、リモートワークなどの柔軟な勤務形態を活用できる場合、これを積極的に利用することが考えられます。近年では、企業によっては不妊治療に理解を示し、特別な休暇制度を導入しているところもあります。自分の職場でこのような制度がない場合でも、上司や人事に相談し、個別に休暇や時間調整の相談をすることもできます。不妊治療連絡カードなどもありあらかじめ仕事場に提出しておくとスケジュールの調整などしてもらえる可能性もあります。

職場への理解を求める

不妊治療はプライベートな問題であり、すべての人が職場でオープンに話したいとは限りません。しかし、上司や同僚にある程度の情報を共有することは、両立を円滑に進める上で非常に有益です。

• 信頼できる上司や同僚に相談することを検討しましょう。不妊治療についてすべてを話す必要はありませんが、治療のために時折休暇が必要になることや、体調の変化が生じる可能性があることなど、必要な範囲で伝えることが有効です。治療を受けていることを話すことで、周囲からのサポートを得やすくなり、急な休暇や勤務時間の変更に対しても理解を得ることができます。また、妊娠した後も妊娠初期に伝えやすくなり、つわりや切迫流産などがあった場合サポートが得やすくなります。

• 企業による不妊治療サポート制度を確認するのも良いでしょう。最近では、従業員の健康やライフイベントに対して柔軟な対応を行う企業が増えてきています。もし自分の職場がそのような制度を導入していない場合でも、提案することで新たに導入される可能性もあります。

メンタルケアの充実

不妊治療は身体的な負担だけでなく、精神的な負担も大きくかかることがあります。特に、治療の結果が思わしくない場合や、期待が重なってストレスが増すことが多いです。また、仕事においても通常の業務に加えて治療のスケジュールや体調の変化に対処する必要があるため、メンタルケアが重要です。

• カウンセリングや心理的サポートの利用を検討してみましょう。不妊治療専門のカウンセラーやサポートグループに参加することで、同じ悩みを抱える人たちとの交流ができ、精神的な負担を軽減することが期待できます。日本でも、不妊治療に関する専門のカウンセリングを行っている施設が増えています。

• 自分だけのリラックス方法を見つけることも大切です。たとえば、瞑想やヨガ、趣味の時間を大切にすることが、ストレス解消に役立ちます。特に治療と仕事の両立をしている場合、どうしても日常生活が忙しくなりがちなので、意識的にリラックスする時間を作ることが大事です。

パートナーや家族のサポート

不妊治療は夫婦やパートナー2人の問題であるため、特にパートナーとしっかりと協力し合うことが重要です。パートナーが協力的でないと感じるとストレスになります。また、治療が進むにつれて心身への負担が増すことがあるため、家庭内でのサポート体制を整えることも不可欠です。

• パートナーとコミュニケーションを深めることが大切です。お互いの状況や感じていることを共有し、治療や仕事の進め方について話し合うことで、お互いに理解し合い、協力しやすくなります。通院の回数など女性側の負担がどうしても多くなってしまうため特に家事の分担や、日常のタスクをどのように振り分けるかを話し合うことが重要です。

• 家族のサポートを求めることも考慮しましょう。不妊治療についてすべての家族に話す必要はありませんが、信頼できる家族には治療の状況や仕事との両立について相談し、必要な場合には支援をお願いすることが役立ちます。家庭内でのサポート体制が整うことで、精神的な負担が軽減されることがあります。

治療とキャリアの優先順位を再評価する

不妊治療が長期にわたる場合、キャリアと治療の優先順位を見直すことも必要になることがあります。特に、キャリアに対して強い意志を持っている人にとっては、仕事と治療のバランスをどう取るかが大きな悩みとなることがあります。

• 治療の進行具合に合わせて、キャリアプランを柔軟に調整しましょう。治療が進むにつれて身体的な負担が大きくなることもあるため、そのタイミングで一時的にキャリアの優先順位を下げることを検討するのも一つの選択肢です。また、仕事においてもフルタイムからパートタイムに切り替えるなどの柔軟な働き方を模索することが可能です。

情報を得る

同じように不妊治療と仕事を両立している人たちの体験談やアドバイスは、非常に参考になる場合があります。オンラインやオフラインでのサポートグループ、または不妊治療に関する情報共有の場に参加することで、新たな気づきや実践的なアドバイスを得られるかもしれません。

• オンラインフォーラムやSNS、サポートグループなどを活用して、同じ状況にある人たちとの交流を図りましょう。特に、不妊治療に関する情報や経験は地域や病院によって異なる場合もあるため、さまざまな情報源を活用することが役立ちます。

まとめ

不妊治療と仕事の両立には、柔軟なスケジュール調整や周囲のサポート、自己ケアが不可欠です。自分自身のペースで進めながら、仕事とのバランスを保つための環境作りを大切にしましょう。

福田ウイメンズクリニック
福田 雄介 先生

経歴

  •  
  • 東邦大学医学部卒業
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  • 東邦大学医学部大学院卒業
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  • 米国ペンシルベニア大学生物学教室留学
  •  
  • 東邦大学客員講師
  •  
  • 東邦大学医学部産婦人科学教室講師

資格

医学博士(東邦大学 平成22年)
日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医
日本生殖医学会 認定生殖医療専門医
日本人類遺伝学会 臨床遺伝専門医

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