不妊治療の基礎知識：初めてのステップ
【福田ウイメンズクリニック　福田雄介　先生】

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不妊治療を検討するタイミング

不妊治療を始めるかどうかを判断するタイミングは、年齢や状況により異なります。目安として排卵日に合わせて性交渉を行なって３−６ヶ月経っても妊娠に至らない場合不妊の可能性を考慮して医師に相談することを勧めます。これは、通常の健康状態であれば、多くのカップルがこの期間内に妊娠するためです。

一方、35歳以上の女性の場合は、早めに専門医に相談することが勧められます。これは、年齢とともに女性の妊孕力が徐々に低下するためです。卵巣内の卵子の数は年齢とともに減少し、卵子の質も年齢とともに低下します。また、35歳を超えるとそのペースが加速します。そのため早めに相談することで、より多くの選択肢を検討することができ、妊娠の可能性を高めることができます。

また、以下のような特定の症状や病歴がある場合には、さらに早く不妊治療を検討する必要があるかもしれません。

月経不順や無月経
排卵障害の既往歴
子宮内膜症や多嚢胞性卵巣症候群（PCOS）の診断
精子の異常や男性不妊の既往歴
以前に骨盤内感染症や性感染症にかかった経験

これらの状況では、専門医の早期診断と適切な対応が妊娠の可能性を高めます。

不妊治療を行うときに必要なもの

不妊治療を始める際には、いくつかの検査や準備が必要です。基本的な治療を進めるための最初のステップは、パートナー両方の健康状態を確認するための検査です。原因は男性と女性の両方にある可能性があり、また一つとはかぎらない場合が多いため、男性と女性どちらの検査も欠かせません。

女性に必要な検査

AMH検査（抗ミュラー管ホルモン検査）: AMH検査は、女性の卵巣予備能を調べるための血液検査です。AMHは卵巣内にある卵子の数を示し、女性がどれだけの卵子を残しているかの目安になります。年齢にかかわらず正確に卵巣の状態を把握することができます。
ホルモン検査: 月経周期に合わせて血液検査を行い、女性ホルモンのバランスをチェックします。FSH（卵胞刺激ホルモン）やLH（黄体形成ホルモン）、E2（エストロゲン）、P R L（プロラクチン）などのホルモンが正常に分泌されているかが重要です。
卵管通水検査や子宮卵管造影検査: 卵管が詰まっていないか、子宮の形状に異常がないかを確認します。これにより、精子と卵子が出会うことができるか、受精卵が子宮に到達できるかがわかります。
超音波検査: 卵巣や子宮の状態を調べるために行います。卵巣嚢腫や子宮筋腫などの有無、月経周期の卵胞の発育具合、排卵の有無、子宮内膜の厚さなどを確認し、異常がないかを調べます。

男性に必要な検査

精液検査: 男性の精子の数、運動性、形状を調べます。不妊の原因の約半分は男性側にあると言われており、精子の状態が重要な指標となります。

これらの検査結果をもとに、不妊の原因を特定し、適切な治療法が提案されます。必要に応じて追加の検査が行われることもありますが、基本的なステップとしてはこれらが重要です。

病院選び：近くの婦人科なのか不妊専門施設なのか？

不妊治療を始める際には、どの医療機関を選ぶかが大きな決断の一つです。選択肢として、一般の婦人科と不妊治療に特化した専門施設があります。それぞれの特徴を理解し、自分たちに最適な場所を選ぶことが重要です。

婦人科は、もともとかかりつけとしてがん検診などで通院していた場合、過去の経過があり通院しやすい、相談しやすい点がメリットとして挙げられます。ただし、婦人科は不妊治療に関して全ての高度な技術を提供しているわけではありません。

例えば、人工授精や体外受精（IVF）、顕微授精（ICSI）などの高度な治療が必要な場合、設備や専門知識が不足している可能性があります。不妊治療専門施設は、人工授精や体外受精・顕微授精などの技術を使った治療法が必要な場合には、専門施設が推奨されます。不妊治療に精通した医師やスタッフが多数おり、治療に関する相談やサポートも充実しています。何かしら原因がある場合は治療が必要な場合が多いため不妊治療専門施設を勧めます。