不妊治療の先生に聞いてみた

funinclinic

公開日

自然妊娠に近い人工授精で妊娠を目指す。
【小川クリニック 小川隆吉 先生】

記事画像

体外受精や顕微授精だけが不妊治療ではない

不妊治療というと、とても特別な方法と思われる方も多いと思います。

確かに、体外受精や顕微授精は、女性の卵巣から卵を採取し、男性の精子と体外で受精する方法です。

顕微授精にいたっては、1個の精子を卵子に注入する形で受精を助けますから、女性の体内で精子と卵子がであって受精をし、受精卵が分割をして子宮に着床するという自然妊娠とは大分異なります。

ただし、不妊治療は体外受精や顕微授精だけではありません。

タイミング法や人工授精など、体外受精よりも自然妊娠に近い方法もあります。

治療にかかる費用も体外受精や顕微授精に比べて、かなり安いです。

不妊原因によっては体外受精や顕微授精でないと妊娠が難しいケースもありますが、タイミングや人工授精で妊娠される方もいます。

ですから、不妊治療=体外受精ではなく、他の選択肢もあると知っておいてください。

治療スタートは若ければ若いほうがいい

妊娠と年齢は深く関係しています。一般に年齢を重ねるほど妊娠する確率は下がってきますから、人工授精をするにしても、体外受精をするにしても年齢は若いにこしたことはありません。

ただし、実際のところ、病院に来られる女性の年齢は高くなっています。

これは結婚年齢が高くなっている、晩婚化が進んでいるからでしょう。

昔なら「年齢的に妊娠は難しい」とあきらめていた方が、まだ、妊娠できるかもと思われて来院しているともいえます。 不妊治療の方法や技術が進歩しましたからね。

芸能人などが45歳で出産したなどニュースになりますが、だったら私も…とは思わないほうがいいでしょう。

年齢を重ねるに従って妊娠率は下がりますし、流産率は上がります。

より自然に妊娠したいと思うのであればなおさら、早めに病院に行きましょう。

妊娠を希望して夫婦生活をもっているのに1年経っても妊娠しない場合は来院をお勧めします。

40歳以上なら1年以内でも早めに来院したほうがいいでしょう。

日本産科婦人科学会ARTデータブック2016より

AMHが低くても人工授精で妊娠することがある

当院では最初にどのような治療を希望しているのか、うかがいます。

体外受精は絶対にしたくないという方も多いですからね。なかには人工授精もしたくないという方もいらっしゃいます。

極力、患者様の希望に沿った治療をしますが、たとえば40歳以上の方でAMH(抗ミュラー管ホルモン)の数値が低い場合は体外受精をおすすめします。

AMHの値によって、残っている卵の数を推測できますが、数値が低いとほとんど卵が残っていないということです。

卵の数が少なければ、妊娠のタイムリミットが迫っているわけですから、なるべく短期間で妊娠を目指したほうがいい。であれば、体外受精や顕微授精をしたほうがいいでしょう。

ただし、それでも体外受精はしたくないとなれば、妊娠の確率は下がりますが、人工授精をすることがあります。

AMHが低くても人工授精で妊娠される方はいますからね。

人工授精をする目安は?

人工授精の回数は4~7回が目安です。

人工授精を4~7回程度やっても妊娠しない場合は体外受精をお勧めします。

統計的に、人工授精を繰り返しても妊娠する確率は下がる一方だからです。

妊娠する確率が高いのは2~4回目になります。

ただし、なかには8回以上繰り返して妊娠する方もいます。

実際、体外受精は絶対にしたくないという方がご自身のご希望で人工授精を繰返していたら17回目で妊娠しました。

まれなケースではありますが、人工授精を繰返して妊娠する方もいるのです。

要は100人に100通りの治療があるということ。

妊娠までの経緯は一人ひとり違いますからね。


日本産科婦人科学会「人工授精」より

次回は、「治療についてご夫婦で話をしましょう」についてお伝えします。

小川クリニック 小川 隆吉 院長

職歴

日本医科大学卒業
日本医科大学産婦人科勤務
都立築地産院産婦人科医長として勤務、日本医科大学産
婦人科講師も兼任
小川クリニック開設

著書

『不妊の最新治療』『ここが知りたい不妊症』『いちばんためになる はじめての妊娠・出産』『30才からの安産』など

ホームページを開く

関連記事

最新記事