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不妊治療を受けるときに知っておいて欲しい婦人科系の病気
【小川クリニック 小川隆吉 先生】
日頃から婦人科系の病気に注意が必要
不妊治療を希望されて来院される方の中には、子宮内膜症や子宮筋腫、卵巣嚢腫などの病気を抱えている方が結構いらっしゃいます。
このような疾患が必ずしも妊娠を妨げるわけではありませんし、手術などの治療が必要というわけではありません。
ただし、子宮筋腫がとても大きくなっているなどの場合には、不妊につながっていることもあります。
また、妊娠は可能でも出産に影響してくるケースもあります。
妊娠はゴールではありません。
お子さんはもちろん、お母さんも元気に出産をし、育児をしていくことが大切です。
せっかく妊娠したのに、流産したり、早産になったりしたら、元も子もありません。
どんな状態でも妊娠さえすればいいというのではなく、出産や育児のことも考えて健康に気をつけましょう。
もう少し早くわかっていたら…と後悔しないために
現在、20歳以上の女性には子宮がん検診の受診券が送付されるようになっています。
それはあくまでもがん検診で、そのほかの疾患についてはわかりません。
病院によっては、エコーで子宮や卵巣の状態まで確認しますが、子宮頚部の細胞を採取してがん検診にまわすだけの病院も少なくありません。
ですから、筋腫や内膜症などが進行していたという方もいます。
「きちんと検診を受けていたのにどうして?」と驚かれるかもしれませんが、その名の通り、がん検診しかしていないということです。
ですから、既婚、未婚にかかわらず、できれば25歳までに1回は婦人科検診を受けてほしいですね。
検診で何かしら異常が見つかったら、医師の診断に従って治療を受け、定期的に受診して経過をみるようにしましょう。
自分のからだの状態を知っておくことは、とても大切なことです。
毎日、基礎体温を測定する
婦人科検診の受診のほかにも、妊娠に向けて自分でできることがあります。
たとえば基礎体温をつけてみるのもいいでしょう。
継続して基礎体温を計測することが、自分のからだに関心をもつことにつながるからです。
病院を受診する際に、その基礎体温表をご持参いただければ、こちらから書き込みなどをしてお返しします。
葉酸のサプリメントを摂取する
葉酸のサプリメントを摂取することもお勧めです。
葉酸はビタミンB群の一種で、細胞の増殖に深く関係しています。
妊娠初期はとくに胎児の細胞増殖が盛んで、神経管が形成される大事な時期ですが、このときに葉酸が不足すると、神経管閉鎖障害の発症リスクが高まると指摘されています。
そのため厚生労働省は妊娠の可能性がある女性は食事に加え、栄養補助食品から1日400μgの葉酸を摂取するよう通知を出しました。
日常の食事から十分な葉酸を摂取するのは難しいので、サプリメントなどの栄養補助食品から葉酸を摂取するよう勧めているのです。
妊娠初期に限らず、妊娠前から積極的に葉酸を摂取するといいでしょう。
小川クリニック 小川 隆吉 院長
職歴
日本医科大学卒業
日本医科大学産婦人科勤務
都立築地産院産婦人科医長として勤務、日本医科大学産婦人科講師も兼任
小川クリニック開設
著書
『不妊の最新治療』『ここが知りたい不妊症』『いちばんためになる はじめての妊娠・出産』『30才からの安産』など