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なかなか結果が出ないなら選択肢のひとつとして自分に適した先進医療を!
【明大前アートクリニック 北村 誠司 先生】
男性不妊や夜間診療など患者さんに寄り添った治療を展開している明大前アートクリニック。先進医療も積極的に取り入れ、実施しています。今回は先進医療を行うなかで実感していること、患者さんの動向、今後の展望をうかがいました。
保険診療のオプション的な医療技術となる治療と検査
先進医療は、不妊治療を保険診療で受ける時に、併用して受けることを厚生労働省が認めている検査や治療などの医療技術のことで、現在、全額自己負担となる治療です。
将来的には、保険適用が認められることも考えられるのですが、そのためには更なるエビデンスが必要になります。
先進医療にはAとBがあり、ともに厚生労働省が認めた施設でしか先進医療として受けることができません。違いは、先進医療Aは、保険診療になっている検査や治療などに比べると、エビデンスが不足しているけれど、一定の効果が認められています。これに対し、先進医療Bは臨床研究をしながら効果を確認して評価するための医療で、実施施設が限定されています。
先進医療は妊娠しやすくするための治療!?
不妊治療における先進医療の位置づけは、適応する患者さまがより妊娠しやすくなるよう行う検査や治療、医療技術だと思ってください。
当院で実施している先進医療は、PICSI、タイムラプスインキュベーター、SEET法、ERA検査、子宮内膜スクラッチ法、子宮内フローラ検査、二段階胚移植です。
タイムラプス、ERA検査の希望者は多い
実際に患者さまが一番利用されるのはタイムラプスインキュベーターです。採卵したあと、受精やその後の受精卵(胚)の発育状況を撮影して確認できるので、患者さまからの希望は高く、実施頻度はとても多いです。
そのほか、治療をしてもなかなか妊娠しない時にERA検査を行ったり、子宮内フローラ検査をする方も多くいらっしゃいます。
先進医療の申請はしていませんが、ERA検査や子宮内フローラ検査と同様の特徴を持つERPeak、EMMAやALICEなどの検査を自由診療で選択される方もいらっしゃいます。
保険診療と併用して受けられることが大きなメリット
治療をしていてもなかなか妊娠にいたらない時に、これらの先進医療があること、そしてその方法をひと通りご説明します。その中で、何が適しているかというアドバイスもしています。
ただ、かなり高額なものもあるため、患者さまに適しているだろう検査の中で、費用的にも受けやすいものを選択するケースが多いですね。
今は保険診療をしている方が多いですから、治療先で保険診療と併用して受けられる医療技術か否かも重要なポイントとなってきます。
同じ先進医療の項目でも、クリニックが厚生労働省に届け出を出し、認められた技術のみ、そのクリニック内で受けることができるからです。
いつ受けるかも大切40歳以上は早めに
最近、ERA検査の結果に基づいて移植日をずらすことで妊娠される方が複数いらっしゃいました。
ERA検査を受ける方は多いのですが、40歳以上の方は早めに受けることをおすすめします。
というのも、40歳以上ですと保険が使えるのは移植3回までと定められています。
反復して妊娠しなかった場合は、次の移植前にERA検査を検討するといいでしょう。当院では40歳以上のカップルには特におすすめをしている先進医療です。
保険適用が認められる先進医療も出てくると思います
今後の予測として、数年後にはPGT‐Aが保険適用になるかもしれません。そして、現在、先進医療に位置づけられているものの中から保険適用になるものもあるかと思います。そのカギを握っているのが実施件数やエビデンスでしょう。
保険適用が認められるものがある一方で、先進医療から外れていくものもあるかもしれません。
どの先進医療の項目を受けるのか、迷ったら主治医に相談をしましょう
先進医療は、不妊治療を受けていてもなかなか妊娠しない方向けの医療です。したがって、妊娠を妨げている理由には何が考えられるのか、どのような対策が考えられるのかをよく確認することが大切です。
そこを踏まえた上で、自分に合った先進医療を選択しましょう。
もちろん、どの先進医療を受けるかは患者さまご自身が判断することですが、主治医のアドバイスも参考になると思います。
気になる点はぜひ医師に確認してください。
「タイミング療法から人工授精、体外受精まで視野に入れて通っていただける不妊専門のクリニック。子どもを授かりたい皆さまのお手伝いが出来るよう、ベストを尽くします」と患者さんに向けて抱負を語る北村先生。
明大前アートクリニック 北村 誠司 先生
経歴
- 1987年
- 慶應義塾大学医学部卒業
- 1987年
- 慶應義塾大学医学部産婦人科入局
- 1989年
- 東京都済生会中央病院に入職、IVFを研修
- 1990年
- 慶應義塾大学医学部産婦人科、IVFチームに配属
- 1993年
- 荻窪病院に入職、IVFおよび内視鏡手術に従事
- 2003年
- 荻窪病院 産婦人科部長に就任
- 2008年
- 荻窪病院 虹クリニックを開設
- 2018年
- 虹クリニックを退職
- 2018年
- 明大前アートクリニックを開設
資格
日本産科婦人科学会認定 産婦人科専門医
母体保護法指定医
日本生殖医学会認定 生殖医療専門医
日本産科婦人科内視鏡学会評議員
日本受精着床学会評議員