公開日
あなたが受けたいのはどんな治療?
病院選びはまず自分の希望と向き合うところから
【オーク住吉産婦人科
オーク梅田レディースクリニック
オーク銀座レディースクリニック
田口 早桐 先生】
■個人クリニックか、中規模以上のクリニックか
病院を選ぶ際にいくつかのポイントがありますが、まず実質一人の先生が診察に当たっているこぢんまりとしたクリニックと、複数のドクターが診察に当たっている中規模以上のクリニックという違いがあります。
どちらにもメリット、デメリットと言える面があるので説明しましょう。
まず一人の先生が診ているクリニックはずっと同じ先生が診察に当たっているので自分のことを覚えてよく理解してもらえるという安心感があると思います。逆にいうといろいろな先生の意見は聞けません。
こうした小規模なクリニックの場合、ドクターとの相性はとても重要でしょう。あなたが先生と合うと感じられたら良いと思います。
一方、複数のドクターがいるクリニックの場合は多面的にいろいろな角度からの意見が聞けるというメリットあります。不妊治療において正解はひとつではないので、いろいろな説明を聞いて参考にしたい人、医師と細かくコミュニケーションをとりながら治療したいという方は複数のドクターがいるクリニックが向いているでしょう。
デメリットを挙げると、流れ作業的に感じられたり、カルテを共有しているといってもドクターが変わると同じことを質問されたりといった手間を感じることはあるかもしれません。
培養の面でいうと、培養士が一人もしくは二人というように少人数の場合、どうしても採卵数が少なくなるので成績が安定しにくいかもしれません。
複数の培養士がいるところは採卵数が多いので成績が安定していると思います。たとえ一人の培養士が抜けたとしても成績に大きな変化は見られないはずです。
大まかにいうとクリニックの規模によって、このような違いがあるので、自分にはどちらが合っているか、どちらがストレスを感じずに治療できるか考えてみてください。
■1周期あたりの通院回数は何回? 多い?少ない?
別の側面から病院選びのポイントを挙げると、通院回数があります。
1周期あたりの通院回数は病院の治療方針によって結構な差があります。
卵を育てる注射を打つ場合、病院に通って打つのか、それとも自宅で自分で打つこともできるのかによって通院回数は大きく異なります。また、診察はなく説明だけの場合はオンライン診療でも対応しているなど病院によって診療スタイルはさまざまです。通院回数の少ないところと多いところでは倍以上の違いがあるでしょう。
もちろん通院しないとできないこともありますが、通院回数が多いことで疲れ果ててしまったという話を聞くこともあります。
通院回数も病院選びの際に確認しておくといいでしょう。
■治療の方法は? 自然周期? 高刺激?
治療法の違いでいうと、体外受精の場合、自然周期か高刺激かに大別できると思います。高刺激といっても大量の薬を使うわけではありませんが、薬はなるべく使いたくないという方もいるでしょう。
こうした治療法についてはクリニックのホームページで確認してみてください。そのクリニックがどんな治療をしているのか、どんな思いで治療に当たっているのかはホームページに書かれているものです。
実際に来院して一から話を聞くのは難しいので、あらかじめホームページで確認することをお勧めします。その上で質問したいことをまとめておくのがいいでしょう。
■あなたの望む治療は? 夫婦で話し合ってみる
以上のように、いくつか病院選びのポイントを挙げてきましたが、一番大事なのは「あなたがどんな治療を受けたいのか」です。
希望が定まっていない状態では病院選びといっても何を基準に判断したらいいのか分からず迷ってしまうでしょう。
たとえば体外受精の刺激について、卵が採れるなら刺激をしたいのか、できる限り薬は使いたくないのか、ご自身の希望はどちらなのか考えてみてください。できるならご夫婦で話し合っておくことをお勧めします。
不妊治療に対するご夫婦の希望がはっきりすれば、病院に求めるものも分かり、病院選びのポイントが明確になるでしょう。
オーク住吉産婦人科
田口 早桐 先生
経歴
川崎医科大学卒業、兵庫医科大学大学院卒。専門は「抗精子抗体による不妊」。
学位論文はIdentification and Characterization of a sperm Peptide Antigen Recognized By a Monoclonal Antisperm Autoantibody Derived from a Vasectomized Mouse.(掲載誌 Biochemical and Biophysical Research Communications.)
府中病院を経て、医療法人オーク会勤務。
体外受精に関して、排卵誘発法を含めた治療戦略をしっかり立てることが大事との信念で、個人個人の状態に合わせた方針を決めることに力を注ぐ。
資格
日本生殖医学会認定生殖医療専門医
日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医
母体保護法指定医
臨床遺伝専門医制度委員会臨床遺伝専門医
日本再生医療学会会員