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これから不妊治療をスタートしようとしているあなたへ――。
どんな気持ちで臨んでいけばいいのでしょうか?
【峯レディースクリニック 峯克也先生】
これから不妊治療をスタートしようとしているあなたへ――。
どんな気持ちで臨んでいけばいいのでしょうか?
保険診療制度がスタートしてから、初めて不妊治療に臨むという人も多いのではないでしょうか。
「どうやって病院を探したらいいの?」「治療中、どのように心を保っていけばいいのか」「仕事は続けられる?」など、妊活を始める前はわからないことがいっぱい。
そんな不妊治療ビギナーさんが抱える不安について、東京・自由が丘にある峯レディースクリニックの峯 克也先生にアドバイスをしていただきました。
自分に合う病院はどのように選んだらいいのでしょうか?
「不妊治療を始めよう」と思った時、おそらく多くの方はインターネットで治療方針や口コミなど、たくさんの情報を調べて病院を探されると思います。検索すること自体は間違っていないと思いますが、迷ってしまったり、逆に情報を読んで期待しすぎてがっかりしてしまうこともあるのではないでしょうか。レストランもそうですよね。口コミがいいからといって、そのお店の味や接客が自分に合っているとは限りません。
とりあえず、通いやすい病院を見つけて行ってみてはどうでしょうか。先生と実際にお話ししてみて、自分と相性が合うかどうかを確かめてみる。治療について丁寧に説明しすぎるとかえって決められなくなってしまう人もいれば、「あなたはこの方法でいきましょう」とはっきり言われたほうが自分に合っているという人もいます。それは口コミだけではわかりません。まず診察を受けてみて、自分に合わないと思ったら転院してもいいと思います。
治療を始める前の心構えは?
治療は気軽に始めてしまっていいと思いますが、それが1ヵ月で終わるのか、1年、5年で終わるのかは誰にもわからないので、少ししんどい部分もあると思います。もしかしたら治療しても赤ちゃんを授からないかもしれない。
不妊治療は夫婦一緒に乗り越える問題です。大事なのは「今二人で仲良く暮らしているのは幸せなこと」という想いを忘れないで欲しいですね。一生懸命治療をしたのに生理が来てしまったら残念だけれど、二人が仲良しであるということは変わりません。
保険診療だと治療計画を立てるときは男女同席というルールがあります。また当院では、男性が検査をする時、結果は奥様だけではなく、必ずご主人本人にお伝えするようにしています。お願いするというのではなく、最初から二人でという感じ。つらいこともいいこともつねに二人のことと思って欲しいですね。
医療側の言いなりになってやらされてしまうと、せっかく赤ちゃんを授かってもそのきっかけが何か嫌なものになってしまい、「あの話はもうやめようね」となってしまうかもしれません。治療をスタートした時点から二人で納得し協力して成し遂げれば、少し辛くても、たとえ赤ちゃんを授からなくても嫌な思い出が残ったり、後悔することはないと思います。
また、しんどい時もそれは意味がないことではありません。他の人がつらい思いをしていたら親身になって自分の経験を話してあげられると思うので、マイナスではなくプラスにとらえていただきたいですね。
仕事は辞めたほうがいいのでしょうか?
これから治療をスタートする方から「仕事を辞めたほうがいいですか?」とよく聞かれるのですが、当院で治療されている患者さんのほとんどは治療と仕事を両立されています。もし赤ちゃんを授かったら子育てにもお金がかかるので仕事で収入を得るは大事ですし、やりがいにもなるのでは?
もし仕事を辞めてしまったら治療のことばかり考えてしまうし、治療に専念したからといってうまくいくとは限りません。集中することだけがいいとは言えないでしょう。企業によっては不妊治療をサポートする体制をとっているところもあるようですから、信頼できる上司に早めに相談できればベストですね。
治療中はストレスをためず、いつも通りの生活を
頑張って治療に臨むのはいいことですが、ストレスをためてしまうのは良くありません。当クリニックでは「妊娠反応が出るまでは、好きなものを食べたり飲んだりしてもいいのではないですか?」と患者さんにお伝えしています。気分転換したい方はお酒なども少しは楽しんでいいのでは?
夫婦生活も「治療中だから控える」のではなく、いつも通り仲良くしていただきたいですね。「まめに射精したほうが精子の状態が良くなる」という報告もあるので、患者さんには「処置の関係で止められていない日以外は夫婦関係を持って構いません」とお話ししています。
不妊治療はなかなか自分の思い通りにならない治療。「これだけお金をかけたから」「これだけ努力をしたから」結果が出るものではありません。しんどいとは思いますが、それを頭の隅に置きながら、できるだけ自分のペースで続けられたらいいのではないかと思います。
峯レディースクリニック 峯 克也 先生
専門医
日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医
日本生殖医学会認定生殖医療専門医
臨床遺伝専門医制度委員会臨床遺伝専門医
日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医(腹腔鏡・子宮鏡)
東京都難病指定医
日本受精着床学会評議員
職歴
木場公園クリニック
新宿ARTクリニック