不妊治療の先生に聞いてみた

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不妊治療をはじめる前に、ふたりがするべきこと
【佐久平エンゼルクリニック 政井 哲兵 先生】

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【妊活】と【不妊治療】

妊活は、妊娠活動を略した言葉として世の中に浸透しています。妊活は、妊娠についての知識を深めたり、カップルが自分たちのペースで行うものであり、通常は医療が介入しない段階とされています。

一方、不妊治療は、妊活の延長上という考え方もできますが、おおむね医療が介入する段階(医療的なサポートが必要な段階)と考えていただければよいと思います。

また、不妊症は「避妊をしない性生活を1年以上送っても、妊娠が成立しない」ことが定義となっています。つまり、避妊をしない性生活を1年ほど送れば多くのカップルは妊娠するということであり、また避妊をしていないにも関わらず1年以上生生活を送っても妊娠しない場合は、性生活で妊娠するのが難しい、性生活では妊娠ができないなんらかの問題を抱えているカップルといえるでしょう。

そして、赤ちゃんが欲しいと考えるカップルの中には、基礎体温や排卵日検査薬などから自己流タイミングを行っている場合もあると思います。そのようなカップルは、すでに避妊しない性生活がどれくらいの期間あったのかも加味しましょう。それがトータルで1年以上ある場合は、性生活での妊娠が難しい何か問題を抱えているのかもしれませんから、なるべく早く検査を受けてみましょう。

【妊娠しない理由】にはなにがあるのか?

月経周期が順調にあるということは、排卵を伴った月経であると考えていいでしょう。
そのため、月経による出血が治ってから2、3日に一度、性生活を持っていれば排卵日を逃すことはありません。

また、基礎体温や排卵日検査薬から排卵日を予測した場合も、その前後に性生活を持っていれば排卵日を逃すことはないでしょう。

では、そのように性生活を送っても妊娠しないのは、なぜでしょう。

その多くは、排卵日が問題なのではなく、他に問題があって妊娠しないのだと考えられます。
たとえば、月経周期は順調にあるが、実際には排卵が起こっていない。

排卵は起こっているが、精子が卵子に辿り着いていない。
卵子と精子は出会っているが、受精が起こっていない。
卵子と精子が出会い、受精も起こっているが、胚が発育しない。

など、さまざまな問題が考えれられます。

また、もっと細かくいえば、排卵が起こっていない理由、精子が卵子に辿り着いていない理由にもさまざまあります。

それらを調べるのが、不妊検査です。

不妊検査は、女性の場合は月経周期に合わせた血液検査でホルモン値を診たり、エコー検査で卵胞の大きさや子宮内膜の厚さを測ったりします。男性の場合は、主に精液検査になり、精液量や精子の数、運動する精子の数などを調べます。

不妊原因は男女半々ですので、ふたりで検査を受けることが重要です。また、不妊治療には保険が適用されますので、必ずふたりで検査を受ける必要があります。

【検査を受ける前】の大切なこと

赤ちゃんはふたりの間に生まれてきます。

妊娠しない理由は、男女のどちらかにあるのかもしれません。しかし、それはふたりに起こっていることで、ふたりが抱える問題です。だから、検査もふたりで受けるのですが、初診の際に時々困ったことが起こります。それは、ふたりの意見が合っていないことです。

女性は、赤ちゃんが欲しいと考え、性生活で妊娠しないことを悩み、「検査を受けたい!」と診察に訪れます。そのパートナーである男性は、赤ちゃんは欲しいものの、「治療してまで?」と思い、検査を受けたくないと考えている場合などです。

男性は検査を受けたくないので受診を渋り、なかなか検査を受けません。

ふたりの検査の結果が出なければ不妊原因がわかりませんので、治療が始められません。保険診療による不妊治療では、治療計画書が必要になり、またその治療計画書について医師が説明する際には、ふたりが同席し、ふたりそれぞれから治療に同意したというサインが必要です。

女性の熱意に引っ張られるようにしてくる男性パートナーもいますが、それでも検査を受けて進んでいこうとしてくれれば、進めていく間にふたりの気持ちが揃ってくることもあります。

しかし、中には診察中に小競り合いが始まることもあります。

妊娠するためには、卵子も精子も必要で、女性も男性もどちらも欠かせません。性生活で妊娠できていないその原因も女性、男性とも検査してみなければ、どちらかの結果のみで治療の適応を見極めることができないので、治療を始めることができないのです。ですから、ふたりがどうするのが良いのかを話し合うことが重要です。

妊娠するためには? なぜ、性生活で妊娠しないのか? などの説明をしますが、論理的には理解できても、心が追いつかないこともあるでしょう。そうした場合には、「ふたりでよく話し合ってみてはいかがですか? 検査をするのか、しないのか。検査の結果によっては治療をするのか、しないのか。ふたりで話し合ってみてください」とお話します。

すると、翌月にはふたりで受診するカップルもいれば、半年以上、1年以上経ってからふたりで受診するカップルもいます。その間に、ふたりで話し合ったり、半年、1年性生活を持って様子を見てみるということを踏まえてきているのだろうと思います。

そのプロセスは、とても大切なことです。治療中においても、妊娠中、出産、子育てにおいても、ふたりで話し合ったり、試してみたりしながら、ふたりの意見や思いをすり合わせて日々の生活が積み重なっていきます。

また、男性には知っていて欲しいことがあります。それは女性を精神的に支えることです。これは唯一、パートナーである男性にしかできない役割です。それも不妊の検査や治療だけでなく、子育てまで続く大事な役割です。

佐久平エンゼルクリニック 政井哲兵 先生

専門医

日本生殖医学会認定生殖医療専門医
日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医

経歴

  • 1997年
  • 鹿児島ラ・サール高校卒業
  • 2003年
  • 鹿児島大学医学部卒業
  • 2003年
  • 東京都立府中病院(現東京都立多摩総合医療センター)研修医
  • 2005年
  • 東京都立府中病院(現東京都立多摩総合医療センター)産婦人科
  • 2007年
  • 日本赤十字社医療センター産婦人科
  • 2012年
  • 高崎ARTクリニック
  • 2014年
  • 佐久平エンゼルクリニック開設(2016年法人化)

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